MENU

2024.7.23
【意外と知らない相続税の納付方法】納付方法の種類やメリット・デメリットについて解説

相続が発生すると、多くの方が頭を悩ませる相続税。

ですが、いざその時になってみないと意識しない人がほとんどです。

「相続税の納付方法もよくわからない」という方も、少なくないのではないでしょうか?

相続税は固定資産税などとは違い、納付書が自動的に送られてきたりはしません。

そのため、自身で相続税を納める手続きを行わなくてはならないのです。

期限も決められていますので、適切に対処しなければ予想外のトラブルに発展してしまうこともあります。

相続税の納付方法を理解しておき、適切な対処ができるようにしておきましょう。

今回は、相続税の納付はどこでするのか、納付方法はどんなものがあるのかなどについて、わかりやすく解説していきます。

相続税の納付方法

相続税は原則として、金銭で一括納付する必要があります。

外国通貨や仮想通貨で納付することはできません。

現金払いだけでなく、金融機関口座からの振込も可能です。

具体的な納付方法は、以下の6つがあります。

●銀行などの金融機関で納付
●クレジットカードで納付
●コンビニで納付
●税務署の窓口で納付
●e-Taxで納付(ダイレクト納付)
●インターネットバンキングで納付

銀行などの金融機関で納付

相続税の支払方法として最もメジャーで、選択する人も多い方法です。

最寄りの銀行や郵便局、信用金庫などの窓口へ納付書を提示して納付します。

預金を払い戻してそのまま納付することが可能なため、高額な現金を持ち歩くリスクがない点が大きなメリットです。

手数料は不要で、領収書も発行されます。

納付書は、一般的には窓口に備え付けてあることが多いです。

メリットデメリット
・高額な納税額でも安全に手続き可能
・手数料が不要
・キャッシュカードと納付書があれば納付可能
・納付書を作成する必要がある
・手続きが可能なのは平日日中のみ
・日時によっては待ち時間がかかる

クレジットカードで納付

2017年1月から可能になった納付方法で、一度の納税額が1,000万円未満の場合に利用できます。

オンラインで手続き可能なため、自分の都合の良い時間に相続税を納付できるのが最大のメリットです。

ただし、納付額に応じて決済手数料が発生するため、納付額が高額の場合にはあまりおすすめしません。

国税庁ホームページ、もしくはe-Taxから「国税クレジットカードお支払サイト」にアクセスして納付手続きを行います。

金融機関や税務署の窓口では、クレジットカード納付をすることはできないので注意が必要です。

メリットデメリット
・PCやスマートフォンで手続き可能
・24時間365日手続き可能
・移動する手間や待ち時間がない
・決済手数料がかかる
・一度の納税額に上限(1000万円)がある
・領収書が発行されない

コンビニで納付

コンビニでの納付も比較的手軽に行える方法です。

24時間営業のコンビニも多く、買い物のついでに納付を済ませられるメリットがあります。

ATMを備え付けてある店が多いので、現金を持ち歩くリスクも軽減できます。

ただし、コンビニ納付は納税額が30万円以下の場合に制限されています。

また、納付するためには、事前に税務署でバーコード付納付書を発行してもらうか、国税庁のHPからQRコードを発行する必要があるので注意しましょう。

コンビニ納付も手数料は不要です。

メリットデメリット
・手数料がかからない
・24時間365日手続き可能
・バーコード付納付書がQRコードが必要
・納税額が30万円以下の場合のみ

税務署の窓口で納付

相続税の申告をする税務署の窓口でも、相続税の納付が可能です。

税務署に出向くことで、相続税の申告と納付を同時に済ませることができます。

手続きに不安がある場合に、アドバイスを受けやすいというメリットもあります。

ただし、納付できる税務署は相続人の最寄りの税務署ではなく、被相続人の最後の住所地を管轄する税務署です。

そのため、申告する税務署が遠隔地にある場合は、この方法は難しいでしょう。

また、現金一括納付のため、高額な現金を持ち歩かなくてはならないデメリットもあります。

メリットデメリット
・申告と納付を一度に済ますことができる
・手続きのアドバイスを受けやすい
・手数料がかからない
・納付書を作成する必要がある
・納付可能な税務署が決まっている
・手続きが可能なのは平日日中のみ
・現金を持ち運ぶリスクがある

e-TAXで納付(ダイレクト納付)

相続税申告をe-Taxで行った場合は、そのままe-Taxを使って納付まで行うことが可能です。

ただし、事前に税務署へのダイレクト納付利用開始届の提出が必要となります。

書面で届出した場合は利用できるまで1ヶ月程度、オンラインの場合は利用できるまで1週間程度かかります。

PCやスマートフォンから納付可能ですが、事前準備も多く利用する人はあまり多くない方法です。

メリットデメリット
・PCやスマートフォンで手続き可能
・手数料がかからない
・e-Taxで相続税申告を行う必要がある
・税務署へのダイレクト納付利用開始届の提出が必要
・金融機関によっては利用できない
・手続きができるのはe-Taxが利用可能で、金融機関のシステムが稼働している時間のみ

インターネットバンキングで納付

金融機関によっては、インターネットバンキングを利用して相続税を納付することも可能です。

納付はPCやインターネットから行うことができますが、この方法を利用する場合は事前にe-Taxや金融機関で利用開始の手続きを行う必要があります

相続税は繰り返して納付する税金ではないため、得られるメリットより準備にかかる負担の方が大きくなってしまうかもしれません。

メリットデメリット
・PCやスマートフォンで手続き可能
・移動する手間や待ち時間がない
・e-Taxの利用開始手続きが必要
・金融機関での利用開始手続きが必要
・金融機関によっては利用できない
・手続きができるのはe-Taxが利用可能で、金融機関のシステムが稼働している時間のみ

相続税納付における注意点

申告・納付の期限は、相続の開始(原則は被相続人が死亡した日)の翌日から10か月です。

また、相続税の納付には、いくつかの注意点もあります。

守らない場合は、ペナルティを課されてしまうこともあるので、気をつけるようにしましょう。

相続税は相続人それぞれが納める

相続人の一人が代表して一括納付してしまうと、その代表者から他の相続人に対する贈与とみなされてしまう可能性があります。

その場合は、贈与税が発生してしまうため、必ず各相続人がそれぞれ納付するようにしましょう。

納付期限をしっかり守る

納付期限を1日でも過ぎてしまうと、延滞税が発生します。

延滞税の税率は納付期限から2か月以内かどうかで異なります。

手続きを先延ばしにしないようにするとともに、相続税を納付できるだけの現金や預金などをしっかりと準備しておくようにしましょう。

相続税は必ず払う

相続税には、「連帯納付義務」という制度があります。

相続税を払わない場合は延滞税を課せられるだけではなく、連帯責任として他の相続人が相続税を納付しなくてはなりません。

相続税の納付は相続における各相続人の義務ですので、必ず行うようにしましょう。

「延納」と「物納」

前述の通り、期限内の相続税を納付できないと延滞税が課せられてしまいます。

ただし、どうしても期限までに納税資金を用意することができない場合は、「延納」「物納」が認められる場合もあります。

延納や物納を行うためには、一定の条件を満たしていなくてはなりません。

「延納」とは

延納とは、相続税を分割で納税する方法です。

期限までに相続税を一括で納付することが困難で、以下の4つの条件を満たしている場合に、延納が認められます。

●相続税額が10万円を超えていること
●金銭で一括納付することが難しい事由があること
●延納申請書と担保提供関係書類を相続税の申告期限までに提出すること
●延納税額および利子税の額に相当する担保を提供すること

●金銭で一括納付することが難しい事由があること

相続財産だけではなく相続人自身の財産を合わせても、相続税を一括納付することができない状況である必要があります。

納税しきれないという根拠を『金銭納付を困難とする理由書』という書式で証明し、提出します。

この書類は記入欄が多く、不備があった場合には申請が却下されてしまう可能性もあるため、専門家に作成を依頼するのがおすすめです。

●延納税額および利子税の額に相当する担保を提供すること

納付額が100万円を超えてたり、納付期間が3年を超えたりする場合は、延納申請に担保が必要になります

担保にできる財産は、「抵当権が設定できる」「相続税を支払うことができるほど価値がある」「売却できる」などの条件を満たした国税庁が指定するものに限られます。

相続人が所有しているものだけではなく、共同相続人が所有している財産、第三者所有の財産でも担保にすることが可能です。

●延納には利子税がかかる

延納を活用した場合は、利子税を加算して支払わなければなりません

相続する財産の構成によって、延納期間や延納の利子税が変わります。

具体的には、相続財産のうち不動産がどの程度の割合を占めるかなどが関係します。

「物納」とは

物納とは、相続税を現金の代わりの物で納める方法です。

相続税の納付が延納でも難しい場合に、以下の3つの要件を満たすことで認められます。

物納は最後の手段とも言える方法であるため、相続人の意思で選択できるものではなく、承認ハードルもかなり高くなります。

●相続税を分割納付したとしても金銭で納付することが困難であること
●物納する相続財産が物納に適した財産であること
●相続税の申告期限までに物納申請書を提出すること

●相続税を分割納付したとしても金銭で納付することが困難であること

納税者が相続した財産や相続人自身の資産、収入などを総合的に見て判断されます。

貸付金の返還や退職金の給付といった、近い将来に発生が確実と見込まれる金銭収入も判断材料となります。

●物納する相続財産が物納に適した財産であること

物納が可能なのは、「国内にある財産である」「管理処分不適格財産ではない」などの国税庁が認める財産に限られます。

また、物納は相続財産でのみ行うことができるので、相続人が所有していた財産を物納することはできません。

●物納は相続税の残額に適用される

物納は、相続税の一括納付や延納がどうしても難しい場合に、不足分を金銭に代わる物で納める方法です。

そのため、物納が適用されるのは、相続税から相続財産や相続人の所有財産を差し引いた分のみです。

相続人がもともと所有している財産から相続税を支払える場合は、物納制度は利用できません。

まとめ

相続税の納付方法には、それぞれの特徴とメリット・デメリットがあり、ご自身の状況に最適な方法を選ぶことが重要です。

一見するとやや複雑で難しく感じてしまうかもしませんが、相続手続きは、大切な財産を守るための重要なプロセスです

しっかりと準備を整え、適切に対応できるようにしましょう。

不明点や不安がある場合は、専門家に相談することもお勧めです。

わかば税務会計事務所では、税理士・行政書士・宅地建物取引士・相続診断士等の相続の専門家が在籍しています。

豊富なノウハウと実績をもとに適切な相続サポートを行います。

相続についてお困りの方は、お気軽にお問い合わせください。

よく読まれているコラム
初回相談無料お気軽にお問い合わせください
お電話でのお問い合わせ
営業時間 平日 9:00〜18:00事前のご予約で夜間・土日祝もご対応いたします。
メールでのお問い合わせ
お急ぎの方や直接話したい方はお電話ください。