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【効果的に相続税対策】相続対策に生命保険を活用するメリットや注意点を解説!

相続税は非常に高額になりやすい税金です。

そのため、税負担を軽減する対策を行っておくかどうかで大きな違いが生まれます。

生前から行うことができる相続対策の一つに、生命保険を利用した節税があります。

相続税の節税だけではなく、相続人同士のトラブル防止などのメリットにも期待ができる方法です。

ただ、生命保険が相続税対策になるとは知っていても、「どんな保険に入れば良いのか」「具体的にどうすれば良いのか」と疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか?

デメリットや注意点もありますので、事前にしっかりと仕組みを理解しておくことは重要になります。

生命保険を利用した相続対策のポイントは、「相続税の非課税枠」を上手く活用することです。

今回の記事では、生命保険を相続対策に活用する上での基本的な知識やメリット、注意点などについて解説していきます。

生命保険の基本的な概要

生命保険は、「保険契約者」が契約した保険の対象となる「被保険者」に死亡や入院などの保険事故が発生したとき、「保険金受取人」に保険金が支払われる仕組みです。

生命保険は、主に定期保険と終身保険という二つのタイプに分かれています。

定期保険は一定の期間中のみが保証対象となるのに対し、終身保険は被保険者が亡くなるまで保証が続きます。

相続対策としては、どちらのタイプでも活用できますので、目的や状況に応じて選択することが重要です。

生命保険にかかる税金

生命保険の受取金は、「保険契約者(保険料を負担する人)」「被保険者(保険の対象となる人)」「受取人(保険金を受け取る人)」がそれぞれ誰になるのかによって、相続税、所得税・住民税、贈与税のいずれかの課税対象となります。

①被保険者と保険契約者が同じで受取人が異なる場合

夫が被保険者で保険料も夫が負担し、保険金の受取人が妻となっているケースなどでは、生命保険金には相続税が課税されます。

保険金は妻名義口座に入金となりますが、夫が無くなったことにより受け取ることになる財産であるため、「みなし相続財産」として夫の相続財産に加えられます。

②保険契約者と受取人が同じで、保険契約者が異なる場合

妻が被保険者となっている保険の契約者と受取人を夫が兼任しているケースなどでは、保険金受取人である夫が、妻の死亡による保険金を自分で受け取ることになります。

支払った保険料よりも受け取る保険金が多い場合は、一時所得として所得税・住民税の対象となります。

③被保険者、保険契約者、受取人いずれも異なる場合

夫が保険料負担者で妻が被保険者、子供が受取人となっている場合、生命保険金は贈与税の対象となります。

基本的には、生命保険金から贈与税の基礎控除額を差し引いた金額が課税対象です。

保険契約者被保険者保険金受取人税金の種類
相続税
所得税・住民税
子供贈与税

生命保険における相続税の非課税制度

生命保険金は、被保険者が亡くなった後、残された家族の生活を守るために必要な保障です。

そのため、生命保険金には、相続税の対象となっても税負担を軽減する「非課税枠(非課税限度額)」が設けられています。

非課税枠は以下の式で算出します。

法定相続人の数×500万円=生命保険金の非課税枠

例として、妻と子供3人が法定相続人であった場合は、500万円×4人=2,000万円までは、生命保険金に相続税がかからないことになります。

相続税の基礎控除

相続税には、「3,000万円+(法定相続人の数×600万円)」の基礎控除が設けられています。

生命保険の非課税枠は、この基礎控除と併用することが可能です。

そのため、生命保険金が上記の非課税枠を超えてしまった場合でも、超えた部分とその他の相続財産の総額が基礎控除額の範囲内であれば、相続税はかかりません。
(相続税の概要についてはこちらの記事で解説しています:https://zeimu-wakaba.com/15/

非課税枠の注意点

①法定相続人以外が保険金受取人の場合は対象外

生命保険金における相続税の非課税枠を使えるのは「法定相続人」だけです。

相続人以外の人が生命保険金を受け取っても、非課税枠は使えない点には注意しましょう。

②非課税枠は合計額で利用可能

生命保険の非課税枠は「一人につき500万円まで」と勘違いされるケースが多いです。

ですが、1人で「法定相続人の数×500万円」の合計額まで非課税枠を使うことも可能です。

③相続放棄が行われた相続人も計算に入れることができる

相続放棄が行われた場合、民法上の相続人は1人減ることになります。

ですが、生命保険における非課税枠では、法定相続人の数は相続放棄がなかったものとして計算します。

相続対策に生命保険を活用するメリット

①節税につながる

上記の非課税枠を上手く活用することで、相続税の負担を軽減することが可能です。

例えば、相続財産が8,000万円、相続人が妻と子供2人だった場合は以下のような計算となります。

相続財産に生命保険金が含まれていない場合
相続財産8,000万円―基礎控除4,800万円(3,000万円+法定相続人×600万円)
=課税対象3,200万円

相続財産に生命保険金が含まれている場合(保険金2000万円の場合)
相続財産8,000万円―保険金の非課税枠1,500万円(法定相続人×500万円)―基礎控除4,800万円(3,000万円+法定相続人×600万円)
=課税対象1,700万円

②遺産を残したい人に残すことができる

遺言がない場合の遺産分割は、法定相続分を基準に相続人全員による遺産分割協議で決定されます。

ですが、生命保険の保険金は受取人固有の財産とみなされるため、遺産分割の対象となりません

そのため、受取人に指定された人が契約通りに保険金を受け取ることができ、ほかの相続人から遺留分の請求をされる心配もありません。

これにより、残したい人に遺産を残すことができ、資産分割によるトラブルを未然に防ぐことが可能になります。

③比較的スムーズにお金を使うことができる

被相続人の銀行口座が凍結されてしまうと、所定の手続きを経て相続が確定するまでは、預金を引出すことができません。

生命保険金は保険金受取人の口座に保険会社から直接入金されるため、葬儀費用の支払いや遺族の生活資金などにすぐに活用することが可能です。

また、相続財産の多くを不動産が占めている場合などは、納税資金の備えとして活用することもできるでしょう。

④相続放棄した場合でも保険金を受け取れる

債務超過などで相続放棄を行った場合でも、受取人固有の財産となる生命保険金は受け取ることが可能です。

ただし、相続放棄をした人は法定相続人ではなくなるため、非課税枠を利用できない点には注意が必要です。

⑤代償分割に活用できる

生命保険は「代償分割」にも活用できます。

相続財産が土地や建物のみであった場合などは、スムーズに分割を行うことが困難になります。

そういったケースで不動産などのまとまった財産を受け取った人が、ほかの相続人に代償金を支払うことで、相続のバランスをとる方法を「代償分割」と言います。

代償分割の課題は、基本的に多額の現金が必要になる点です。

そこで、不動産を相続予定の人を保険金受取人に指定しておくことで、相続発生時に受け取った保険金を他の相続人への支払いにあてることが可能になります。

相続対策に生命保険を活用する場合の注意点

①加入年齢によっては保険料が高くなる

相続対策を目的として生命保険に加入する場合、高齢で加入するケースも多くなるでしょう。

基本的に生命保険は、被保険者の年齢が高くなるほど保険料も高くなる仕組みになっています。

保険料が非常に高額になってしまい、節税以上にマイナスとなってしまっては意味がありません

加入を検討する際には、保険料の負担もしっかり計算することが大切です。

②保険の失効に注意が必要

上記の通り、高齢での生命保険加入は保険金が高額になりがちです。

ですが、それにより支払いが滞ってしまうと、生命保険が「失効」してしまう可能性があります。

失効した保険を再び有効にするためには、失効期間中の保険料や利息の払い込みなど必要になり、手続きのハードルが高くなってしまいます。

③加入し過ぎや適当な加入に注意する

相続税の対策になるからといって、たくさん加入すればいいわけではありません。

また、生命保険にはさまざまな種類や特約がありますので、比較検討せずに加入してしまうのも厳禁です。

自身の状況に合わせて、保険料を試算しながらなるべくシンプルな保険商品を選ぶのがおすすめです。

④受取人が亡くなった場合は速やかに変更手続きを行う

被保険人よりも保険金受取人が先に亡くなってしまうケースも考えられます。

受取人変更の手続きを行っていない場合、その亡くなった保険金受取人の相続人が保険金を受け取る権利を取得します。

そのため、全く想定していなかった人に保険金が渡ってしまう可能性もあるのです。

大切な人に保険金を残すためにも、受取人が亡くなった場合は、速やかに保険金受取人を見直し、必要に応じて変更手続きを行いましょう。

⑤特約還付金等は非課税枠の対象とならない

還付金など、生命保険金に付随してお金が振り込まれることがあります。

その場合、非課税枠の対象となるものとならないものが存在します。

代表的な非課税枠の対象とならないものは、「特約還付金」「生存保険金」「入院給付金」などです。

<生命保険金の非課税枠の対象とならないものの例>

特約還付金主契約とは別の特約にかかる保険料について、主契約部分の消滅に伴い返還される特約保険料の積立部分です。
純粋な死亡保険金とは異なるため本来の遺産として相続税の対象となり、生命保険金の非課税枠が使用できません。
生存保険金保険期間中に被保険者が生存している場合に支払われる給付金です。
保険期間の途中で一定の期間が経過するごとに受け取れるほか、満期時にも受け取ることができます。
死亡を基因として支払われるものではないため、遺産として相続税の課税対象となります。
入院給付金入院給付金とは、入院したことにより支払われる給付金です。
場合によっては死亡保険金と一緒に振り込まれるケースもありますが、入院給付金には非課税枠を使用できません。
遅延利息死亡保険金の請求を受けてから死亡保険金の支払日までに一定期間を超えた場合、保険会社からその日数に応じて数%の利率が支払われるケースがあります。
遅延利息は受取人の所得税の対象となるため、相続税の課税対象にはなりません。

<生命保険金の非課税枠の対象となるものの例>

配当金保険料の運用等により保険料の予定率と実際の率の差が生じた場合に、剰余分を契約者に分配するお金です。
割戻金共済保険や県民共済などの保険で、1年間の決算で剰余金が生じた場合に、加入者に還元されるお金です。
前納保険料将来の保険期間に対応する保険料を前払いしており、その前納分が残っている間に死亡した場合に返還されるお金です。

⑥リビングニーズ特約を使う場合の注意点

リビングニーズ特約とは、余命6か月以内と医師から診断された場合に保険金の一部を生前給付金として受取ることができる特約です。

このリビングニーズ特約で受け取った給付金には税金がかかりません。

ただし、被保険者が亡くなった際に給付金が残っていた場合、残額は相続財産として相続税の課税対象となります。

さらに、その場合は死亡保険金として受取っていないため、非課税枠を利用できない点に注意しましょう。

まとめ

生命保険は相続対策において有効な手段の一つです。

上手く活用することで、税負担を軽減したり相続人同士のトラブルを防止したりすることが可能になります。

ただし、生命保険を利用した相続対策は、保険料の負担や保険の特約について慎重に検討しながら計画的に行う必要があります。

また、生命保険の性質上、被相続人の死亡が前提になりますので、子供が親に話す場合などは話を切り出しにくいケースもあると思います。

その場合は第三者の専門家も交えて、トータル的に相続対策を検討することも有効です。

わかば税務会計事務所では、豊富な実績を持った相続専門の税理士が、お客様のご都合に合わせた適切なサポート提供しています。

相続対策に興味のある方は、ぜひお気軽にご相談ください!

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