MENU

2026.9.27
【2026年3月で終了した教育資金の一括贈与】すでに贈与した人・これから援助したい人は?知っておきたい制度概要や今後の対応

子や孫の教育資金を、最大1,500万円まで非課税でまとめて贈与できた「教育資金の一括贈与」。

祖父母から孫への資産移転の手段として、相続対策にも広く使われてきた制度です。

この非課税措置が、令和8年度税制改正で延長されず、2026年3月31日をもって終了しました。

「すでに孫名義の口座を作ったが、今後どうなるのか」「これから孫の学費を援助したいが、もう非課税ではできないのか」と気になっている方も多いのではないでしょうか。

結論からいえば、すでに拠出した資金は引き続き非課税で使えます。

また、教育資金の援助そのものが非課税でできなくなったわけでもありません。

本記事では、制度終了の内容を整理したうえで、すでに贈与した人・これから援助したい人それぞれが押さえておきたいポイントを解説します。

教育資金の一括贈与とは

教育資金の一括贈与は、父母や祖父母などの直系尊属が、30歳未満の子や孫に教育資金をまとめて贈与した場合に、受贈者1人あたり1,500万円まで贈与税が非課税になる制度です。

贈与は、信託銀行や銀行、証券会社などの金融機関と「教育資金管理契約」を結び、受贈者名義の専用口座に拠出する形で行います。

なお、2019年4月以降の拠出分からは、受贈者の前年の合計所得金額が1,000万円を超える場合は利用できません。

対象となる教育資金

非課税の対象となるのは、大きく分けて次の2種類です。

●学校等に直接支払う費用:入学金、授業料、施設設備費、入学試験の検定料、修学旅行費、給食費など

●学校等以外に支払う費用:学習塾、習い事(スポーツ・音楽など)、通学定期券代、留学のための渡航費など

学校等以外に支払う費用は、1,500万円のうち500万円が上限です。

また、受贈者が23歳以上になると、学校等以外の費用は教育訓練給付金の対象となる講座などに限られ、習い事などには使えなくなります。

資金の引き出し方

口座の資金は、自由に引き出せるわけではありません。

教育資金として支払ったことを示す領収書などを金融機関に提出し、使い道を確認してもらう仕組みです。

領収書の提出を忘れたり、対象外の費用に使ったりすると、その分は教育資金として認められません。

制度を利用するメリット

後ほど詳しく触れますが、教育費を必要な都度支払う分は、制度を利用しなくても贈与税はかかりません。

その上で、この制度を使うメリットは、将来の学費分を「今」まとめて渡せる点にあります。

祖父母が高齢で、孫の大学進学まで援助を続けられるか分からない場合でも、先にまとまった資金を移しておけます。

その分だけ祖父母の財産が減るため、相続税の負担を抑える効果も期待されていました。

制度の終了について

2026年3月31日で新規の拠出が終了

令和7年12月に公表された令和8年度税制改正大綱で、この非課税措置は適用期限を延長せずに終了することが決まりました。

これにより、2026年4月1日以降は、新たに口座を開設して非課税の適用を受けることはできません。

すでに口座を持っている場合でも、4月1日以降の追加拠出は非課税の対象外です。

拠出済みの資金は引き続き非課税で使える

一方で、2026年3月31日までに拠出された資金については、引き続きこの制度が適用されます。

制度が終了したからといって、口座が使えなくなったり、残高にすぐ贈与税がかかったりするわけではありません。

契約が終了するまで、これまでどおり教育資金として非課税で使うことができます。

制度終了の背景

この制度は2013年に始まり、延長が行われながら累計で27万件を超える利用がありました。

ただ近年は利用が伸び悩み、新規利用は生まれた子どもの数に対して1%程度にとどまっていたと報じられています。

また、まとまった資金を出せる富裕層に利用が偏り、格差の固定化につながっているという指摘もありました。

加えて、教育費を必要な都度贈与する分はもともと非課税であることや、幼児教育・高校授業料の無償化が進んだことなどから、制度としての役割を終えたと判断されたものです。

これまでも延長のたびに廃止を含めた見直しが議論されてきましたが、今回ついに延長されませんでした。

すでに贈与した人:口座の残額はどうなる?

契約が終わるタイミング

教育資金管理契約は、主に次のいずれかに当てはまったときに終了します。

●受贈者が30歳に達したとき
●受贈者が亡くなったとき
●口座の残高がゼロになり、契約を終了させる合意があったとき

ただし、30歳に達した時点で学校等に在学している場合や、教育訓練を受けている場合は、その旨を金融機関に届け出ることで、最長40歳まで契約を続けられます。

使い残した残額には贈与税がかかる

契約が終了した時点で口座に使い残しがあると、その残額はその年に贈与を受けたものとして、贈与税の対象になります。

特に、2023年4月1日以降に拠出した分については、贈与税の計算に一般税率が使われます。

父母や祖父母からの贈与で通常使われる、税率の低い特例税率は適用されないため、税負担が重くなりやすい点に注意が必要です。

非課税枠を目いっぱい使おうと多めに拠出していた場合ほど、使い残しのリスクは大きくなります。

なお、受贈者が亡くなったことで契約が終了した場合は、残額に贈与税はかかりません。

贈与者が亡くなったときは相続税の対象になることも

契約期間中に贈与者(祖父母など)が亡くなった場合は、その時点で使い残している金額(管理残額)が、相続税の対象として相続財産に加算されることがあります。

2021年4月1日以降に拠出した分は、拠出からの期間にかかわらず加算の対象です。

ただし、贈与者が亡くなった時点で受贈者が次のいずれかに当てはまる場合は、原則として加算されません。

●23歳未満である
●学校等に在学している
●教育訓練給付金の対象となる教育訓練を受けている

なお、孫が受贈者の場合は、管理残額にかかる相続税が2割増しになる「2割加算」の対象にもなります(2021年4月1日以降の拠出分)。

終了直前に拠出した人は注意

制度の終了が決まってから、2026年3月までに駆け込みで拠出したという方もいるでしょう。

その場合、贈与者の相続税の課税価格の合計額が5億円を超えるときは、受贈者が23歳未満や在学中であっても、管理残額が相続税の対象になる点に注意しましょう。

拠出から間もないため、使い切るまでにはまだ長い期間がかかります。

受贈者がまだ幼い場合は、契約終了までの長い期間に、贈与者が亡くなる可能性も考えておく必要があります。

拠出額が大きい場合ほど、将来の課税関係を早めに確認しておきましょう。

計画的に使い切るために

制度が終了した今、すでに口座を持っている人にとって大切なのは、残額を計画的に使い切ることです。

まずは現在の残高と、受贈者の年齢、今後の進学予定を確認し、契約終了までに教育資金としていくら使う見込みがあるかを把握しておきましょう。

その際は、学校等以外の費用には500万円の上限があること、23歳以上になると使える範囲が狭まることも踏まえておく必要があります。

また、領収書の提出期限は金融機関ごとに定められているため、支払いのたびに早めに提出する習慣をつけておくと安心です。

使い切れない見込みが大きい場合や、贈与者の財産規模が大きい場合は、相続税との関係も含めて専門家に確認しておきましょう。

これから援助したい人は?

必要な都度の支払いは、もともと非課税

一括贈与が終了しても、子や孫の教育費を援助すること自体は、これまでどおり非課税で行えます。

親子や祖父母と孫のような扶養義務者の間で、生活費や教育費として「必要な都度」「必要な金額」を渡す分には、もともと贈与税がかからないためです。

たとえば、孫の入学金や授業料を祖父母が学校に直接支払うといった形であれば、一括贈与の制度を使わなくても非課税になります。

対象となる教育費には、学費のほか、教材費や文具費なども含まれます。

また、大学生の子や孫への仕送りのうち、生活費として通常必要な範囲のものも非課税です。

「通常必要な範囲」かどうかは、受け取る側の生活状況や、贈与する側の資金力などを踏まえて、社会通念に照らして判断されます。

一一括贈与と違って、金融機関での口座開設や領収書の提出が不要なため、手続きの面ではむしろ手軽な方法です。

◆都度贈与で気をつけたいこと

ただし、非課税となるのは「必要な都度」「必要な金額」を教育費として使う場合に限られます。

将来の学費として何年分かをまとめて渡したり、受け取った資金を預金や投資に回したりすると、通常の贈与として贈与税の対象になります。

後から説明できるよう、できるだけ学校などへ直接振り込み、領収書や振込記録を残しておくことが大切です。

また、都度贈与は支払った分だけ財産が減る仕組みのため、一括贈与のように「今まとめて移して相続財産を減らす」効果は得にくくなります。

教育費の援助に加えて、まとまった資産を早めに移しておきたい場合は、次のような方法との組み合わせを検討します。

その他の贈与に関する制度

暦年贈与(年110万円)

暦年贈与は、1年間に受け取った贈与の合計が110万円以下であれば、贈与税がかからない仕組みです。

使い道の制限がないため、教育費に限らず幅広く活用できます。

一度に大きな額を移す一括贈与とは異なり、時間をかけて少しずつ移す方法のため、早めに始めるほど効果が大きくなります。

なお、毎年同じ時期に同じ金額を贈与し続けると、最初からまとめて贈与する約束だったとみなされるおそれがあります。

贈与のたびに贈与契約書を作る、受け取った孫側(未成年なら親権者)が通帳を管理するなど、贈与の実態を残しておくことが大切です。

また、孫への暦年贈与は、相続税対策としても活用しやすい方法です。

暦年贈与には、相続や遺贈で財産を受け取った人が相続発生前の7年以内(2024年以降の贈与から段階的に3年→7年へ延長)に受けた贈与は、相続財産に加算して相続税を計算するというルールがあります。

孫は通常は相続人ではないため相続で財産を受け取るケースが少なく、この加算の対象にならないことがほとんどです。

ただし、孫が代襲相続人や養子の場合、遺贈や生命保険金を受け取った場合、教育資金の一括贈与の管理残額が相続税の対象となった場合は、加算の対象になります。

相続時精算課税

相続時精算課税は、60歳以上の父母・祖父母から18歳以上の子・孫への贈与について、累計2,500万円まで贈与税がかからない制度です。

2024年1月からは、これとは別に年110万円の基礎控除が設けられ、この範囲内の贈与は贈与税がかからず、相続財産への加算もされません。

2,500万円を超えた部分には一律20%の贈与税がかかり、贈与者が亡くなった際には、基礎控除分を除いた贈与財産が相続財産に加算されて精算されます。

一度選択すると、同じ贈与者からの贈与は暦年贈与に戻せないため、選ぶ際は慎重な検討が必要です。

受贈者が18歳以上である必要があるため、教育費との関係では、大学生以上の孫への援助などで検討される方法です。

結婚・子育て資金の一括贈与

教育資金とよく似た制度に、結婚・子育て資金の一括贈与があります。

18歳以上50歳未満の子や孫に、結婚や出産・子育てのための資金をまとめて贈与した場合に、1,000万円(結婚費用は300万円)まで非課税になる制度です。

こちらは現時点で2027年3月31日まで利用できますが、教育資金と同様に利用の低迷が指摘されており、今後の見直しの動向に注意が必要です。

住宅取得等資金の贈与

子や孫がマイホームを取得する際に、その資金を贈与する場合には、住宅取得等資金の非課税措置があります。

省エネ性能などの要件を満たす住宅で1,000万円、それ以外の住宅で500万円まで非課税となり、現行の適用期限は2026年12月31日までです。

教育費の援助が一段落した後の支援策として、あわせて知っておくとよいでしょう。

まとめ

教育資金の一括贈与は、2026年3月31日で新規の受付を終えました。

すでに口座を持っている人は、まず残額と契約期間を把握し、使い切るまでの計画を立てることが第一です。

あわせて、贈与者の年齢や財産の規模から、相続税の対象となる可能性がないかも確認しておきましょう。

これから援助したい人は、学費については都度支払う方法が基本になります。

そのうえで、相続対策としてまとまった資産を移しておきたい場合は、孫への暦年贈与や相続時精算課税などを組み合わせて検討します。

どの方法が合うかは、贈与する人の年齢や財産の規模、子や孫の年齢や進学予定によって変わります。

相続全体の中で位置づけを考える必要があるため、判断に迷う場合は専門家に相談するのが確実です。

制度の終了をきっかけに、今の口座の状況と、これからの援助の方法をあらためて確認しておきましょう。

よく読まれているコラム
初回相談無料お気軽にお問い合わせください
お電話でのお問い合わせ
営業時間 平日 9:00〜18:00事前のご予約で夜間・土日祝もご対応いたします。
メールでのお問い合わせ
お急ぎの方や直接話したい方はお電話ください。